栗の木エッセー作品紹介
2009年05月26日
昨年春に募集した「栗の木エッセー」ですが、今年に入り何通かのご応募が届きました。
ご応募いただきましたこと、大変嬉しい限りです。
またこの場で順に掲載したいと思いますので、是非ご覧下さい。
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「私のお菓子の家の恩人」
神奈川県 鏡 喜栄 様
本気で、お菓子の家に住みたいと思ったことありますか?誰でも一度は、幼い頃にはありますよね。今は亡き母に、「この柱は、チョコレート色だね」とか「壁がクッキーだったらいいのに」と、話した頃、私の家にはオーブンはありませんでした。田舎育ちの私のまわりでは見ることもなく、あこがれのお菓子の家とは程遠い生活でした。
それから、20数年結婚して移り住んだ土地で、忘れられない出会いです。子供を通じて知り合った家におじゃますると、家の中から香ばしいにおいが漂ってきます。これは、どこから?と見渡すと、台所の四角の銀色の箱の中からだと察しはつきました。「今、ニンジンケーキが焼けるからお茶にしよう」と、この時、それがオーブンという名だと知りました。焼きあがった茶褐色のケーキもはじめてでした。野菜?それも、ニンジンがケーキになるの?目が点でした。野菜は、おかずと決めこんでいる私の頭には、衝撃的でした。昭和49年、このお菓子との出会いは、洗練された彼女の洋の部分をのぞかせてもらいました。当時、念願の小さなお菓子の家の第一歩かも?と、うれしさで一杯でした。そして、彼女の家の家計は一年単位でするのだと聞き、数字に弱い私は気が遠くなる思いでした。又、その時々の共有する思いや、子育ての知恵、ちょっとした雑談まで彼女は私の生活の力強いスパイシーでした。
その彼女とも引越で遠くなりましたが34年ぶりに会うことになりました。横で主人が「お互いがすごく進化していて会ってもわからないかも」と言っていますが。わかりますよね。私のお菓子の家の恩人ですもの。久しぶりに、彼女がどんなスパイスをかけてくれるのか、待ち遠しくていっぱいです。感謝の気持ちをこめたお茶にしたいと思います。お菓子がとりもつ縁も又、捨てたものじゃないですね。感謝。


