栗の木通信

栗の木エッセー作品10

2008年12月16日

[栗の木エッセー賞]

本年春に創業二百年を記念して募集しました「栗の木エッセー賞」のご応募総数830編のうち、計13作品を連載でご紹介いたします。
独自に持つ「お菓子」への思いがたくさん詰まっています。
どうぞご覧下さい。


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お菓子が自分で買える幸せ
                      愛媛県 PN 余土晶子 様


 甘党の私は毎日お菓子を食べている。昼食を和菓子ですませる事も珍しくない。糖分はエネルギーになり、腹もちも悪くないからだ。おまけに程々の胃袋の膨らみで、動きも鈍くならず私にはとても良い食べ物だ。
 けれどこれはつい最近の事で、子供の頃は滅多に食べなかった。家に置き菓子なるものがなかったのである。金銭に厳しい家で母は一日に与えられた日銭の中から、大家族の献立を作る。とてもお菓子を買うまでにはいたらなかったのである。私もその頃はお菓子大好き人間ではなかったので、別に何とも感じはしなかったが、やはり遠足の時のお菓子がご馳走に見えたから元々お菓子は嫌いではないようだ。
 当時の遠足のお菓子は学校から配給されていた。紅玉りんご、ビスケットが一番印象に残っている。「高学年になっても幼児用のビスケットか」といつも配られるたびに、心の中で思っていたものだ。中学になって初めて自分のお金で買えるようになり、前日のスーパーは地元の中学生で一杯だった事も懐しい。私はチョコレートが好物で必ず買っていた。友人達の持つカゴを覗いて互いに見せあったりした事もあった。
 今、我が子が同じ経験をしている。決められた金額の中で子供達は質より量を選び、袋一杯に買ってくる。当然家に帰り兄弟間で見せ合う。感心な事に誰もお菓子を食べない。遠足の楽しみとして置いてあるのだろう。遠足当日も帰宅後は楽しそうに満足そうに、しかもおいしそうにお菓子を食べている子供達を見て、私は嬉しく思っていた。誰からも貰った経験はなかったがそんな事はどうでもいい。楽しい遠足に自分の好きなお菓子を食べられる事の幸せ、喜び。その笑顔を見れる私も幸せ。自分の子供時代が決められた物しか食べれなかったから、余計に子供達には大好きな物を食べさせてあげたいと思う。
 今は時々一人和菓子を食べて喜ぶ私だが、六人家族時には考えられない事で最高のぜいたくを味合わせてもらっている、たった一つで。


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